スマートフォンの普及に伴い動画広告市場は上昇傾向にあります。
そのため動画広告に取り組みたいという方も多いでしょう。
しかし、「動画広告を配信するなんて難しそう」というイメージがある人も多いかと思います。
そこで今回は、動画広告について、動画広告の概要やメリット・デメリット、動画広告で成果を出すポイントなどを解説していきます。
この記事を読むことで、これから動画広告を始めようとしている方もしっかりと成果を出せる動画広告が配信できるようになるでしょう。
動画広告とは?
動画広告とは、その名の通り動画を駆使した広告のことです。
映像と音を駆使して商品やサービスの魅力を存分に伝えられるので、インターネット広告の中でも大きな広がりを見せています。
2010年代初頭、YouTubeがはじめたインストリーム動画広告が動画広告の先駆けです。
テレビよりもYouTubeを見るという世代が増えており、ネット番組も普及してきている現在、動画広告は重要な広告手法の一つとなっています。
最近の動画広告市場について
動画による広告といえばCMを思い浮かべる方もまだまだ多いかもしれません。
しかし、テレビ離れが深刻になり、またネット需要の高まりを受けてインターネットによる動画広告を選択するという傾向が年々強くなっています。
株式会社サイバーエージェントが動画広告に特化した研究機関であるオンラインビデオ総研と共同で市場動向調査を実施しています。
この調査によると、2019年の動画広告市場は昨年比141%増加し2,592億円、2023年には2019年から倍増の5,065億円と予想されており、毎年順調に増加するという予測がされています。
特に、スマートフォン動画広告の需要が高く、今後の動画広告需要をけん引していくでしょう。
これは5Gの普及により通信速度が高速化することも追い風となっています。
スマートフォンでの動画視聴環境がより快適になることから、今後はより動画広告が広がりを見せていくことが予想されます。
(参照:株式会社サイバーエージェント プレスリリース https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=24125)
動画広告の種類
動画広告は主に、以下の3種類に分けられます。
- インストリーム動画広告
- インバナー動画広告
- インリード動画広告
先ほどの株式会社サイバーエージェントによる調査では広告商品別の動画広告市場推計黙されています。
それぞれの種類が、動画広告全体でどの程度利用されているかの参考にしてください。
それぞれの動画広告について詳しくみていきましょう。
(参照:株式会社サイバーエージェント プレスリリース https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=24125)
インストリーム動画広告
インストリーム動画広告とは、YouTubeなどの動画サービスで視聴前や視聴中、視聴後などに流される動画広告です。
テレビCMと同じ15秒尺のものから数分の尺のものまでさまざまあります。
映像、音声、文字を駆使して画面全体で商品やサービスの魅力を伝えられるので、動画広告の中でも主流の一つで、動画広告全体の40%以上がインストリーム動画広告です。
CPV課金方式(広告視聴単価課金)を採用されている場合が多いですが、これはクリックしてもらうことよりも、動画を見てもらうことが重要なのでこのような課金体系が取られていると考えられます。
また、YouTubeのTrueView動画広告は完全視聴単価方式(CPCV課金)が採用されています。
これは、動画が途中でスキップされたり視聴が中断されれば(もしくは30秒未満の再生の場合)課金されないというものです。
広告が最後まで、もしくは30秒以上再生されなければ課金されないので、広告への投資リスクが抑えられます。
インバナー動画広告
インバナー動画広告とは、従来のバナー枠に配信される動画広告のことで、インディスプレイ広告とも呼ばれています。
基本的に音声はOFFになっており、動画DSPなどで配信が制御されています。
インバナー動画広告は動画視聴サイト以外の広告枠にも配信できるので、動画視聴サイトの利用が少ないユーザーに対しても広告を届けることが可能です。
また、従来のディスプレイ広告のように、ターゲティングをすることもできます。
課金方式はインストリーム広告とは違い、CPM(1,000回インプレッション単価)を採用している場合が多いのが特徴です。
動画の場合ファイルサイズによってCPMが変動する場合も多く、静止画の数倍〜数十倍程度になります。
インストリーム動画と比べるとあまりシェアを獲得するには至っておらず、動画広告全体の5%程度にとどまっています。
インリード動画広告
インリード動画広告とは、ユーザーがwebページをスクロール中に動画広告が画面に表示されると動画の再生がスタートするという仕様の広告です。
今回紹介する動画広告の中では最も新しい広告スタイルで、スマートフォンを中心に利用されています。
メインコンテンツと同じ枠で表示されるため、ユーザーの目に止まりやすいのが特徴です。
また、インバナー広告とは違い必ず最初から再生されるので、ストーリー性を持った動画広告の配信が可能となっています。
最も新しい動画広告でありながら、インリード動画広告は動画広告全体で4割近いシェアです。
これは、スマートフォンとの相性の良さから需要が伸びているのではないかと考えられます。
そのほか
上記の3つの他にも、「オーバーレイ広告」や「アプリ広告」などの動画広告があります。
オーバーレイ広告は、ブラウザの一定の位置にあり、スクロールしていくと記事に覆いかぶさるように表示されるというものです。
アプリ広告は、漫画アプリで次の話を読むときやゲームアプリで1プレイするときに動画視聴と引き換えにサービスを受けるものです。
動画広告は今後も新しい形がどんどんと生まれてくる可能性があります。
新しい動きにも注目していきましょう。
動画広告を導入するデメリット
動画広告は今伸びている広告スタイルですがデメリットもあります。
動画広告を導入することのデメリットは以下のようなことが考えられます。
- 制作にコストと時間がかかる
- 質が低いと成果に繋がりにくい
それぞれのデメリットを詳しくみていきましょう。
制作に時間とコストがかかる
動画広告は静止画の広告に比べて制作時間とコストが余計にかかります。
動画を制作するには企画・撮影・編集と工程が多く、静止画に比べて制作期間が長くなってしまいます。
また、タレントを起用したい、アニメーションを入れたい、CGを使いたいなど希望するクオリティが高ければ同時にコストも高くなってしまいます。
質が低いと成果に繋がりにくい
動画広告は動画のクオリティがその成果を大きく左右します。
情報量の多い動画広告はそのクオリティに差がつきやすく、クオリティの低い動画は最後まで視聴されません。
特にインストリーム動画広告の場合は、目当ての動画の前や途中に再生されるので、興味を引くような内容で、かつクオリティが高くなければ高い確率でスキップされてしまうでしょう。
そして、ある程度のクオリティを求めるのであれば制作費は前述したようにどうしても高くなってしまいます。
ただし、成果につながらなければ意味がないので、動画広告を導入するのであれば、ある程度のコストは覚悟しましょう。
動画広告を導入するメリット
動画広告を導入するデメリットについて先ほどお伝えしましたが、動画広告にはそれ以上にメリットがあります。
動画広告を導入するメリットは以下のようなものが考えられます。
- 認知の拡大ができる
- 販売を促進させることができる
- ブランディング化できる
- 他の広告形式と異なってクリック率が高い
- SNSなどで拡散される可能性がある
それぞれのメリットを詳しくみていきましょう。
認知の拡大ができる
毎日多くの商品やサービスが生み出されるこの世の中で、自社製品をユーザーにどのようにして認知してもらうかは多くの企業が抱える課題です。
動画広告は映像、音声、文字などを効果的に使い、自社製品を魅力的にアピールすることができます。
動画制作において大切なことは見てもらえるかどうかです。
商品の魅力を淡々と説明するものではなく、ストーリー性を持たせるなど、動画であるメリットを十分に生かした構成にしなければなりません。
多くの人の目に止めるような動画を作ることができれば、認知の拡大につながるでしょう。
販売を促進させることができる
広告の目的の一つが販売促進です。
ユーザーにとって魅力的な動画を配信することができれば、当然販売促進につながります。
テレビCMでは15秒〜30秒程度の長さなのに対して、動画広告ではそれ以上の長さのものを配信可能です。
そのため、より詳細な情報を盛り込むことや、よりストーリー性を持たせることができます。
ブランディング化できる
商品を売るだけではなく、動画広告を使って企業価値や製品価値を高めるブランディング動画を流すこともできます。
ブランディング動画は、特に高価な商品やサービスにおいて有効な手段です。
こういった動画はストーリー性を持たせて、ユーザーがずっと見てたくなるような構成にする必要があります。
つまり視聴時間を稼ぐことができる動画を作ることが重要です。
他の広告形式と異なってクリック率(CTR)が高い
動画広告は、他の形式の広告と比較してもクリック率(CTR)が高いなど、その後のアクションが起こりやし傾向にあります。
これは視覚だけでなく聴覚にも訴えられるなど伝える力が静止画に比べて強いからでしょう。
商品やサービスの魅力がユーザーにしっかり伝わりやすいことが、その後のアクションにつながっていると考えられます。
SNSなどで拡散される可能性がある
動画広告はバズればSNSなどで大きく拡散されます。
内容に共感する、問題定義や話題性があるなど口コミで広がり、予想以上の反響を呼ぶことがあります。
例えば、動画広告でたびたび話題になるのがマルコメ「料亭の味」シリーズです。
「料亭の味 液みそ いつまでも一緒に編」は配信1ヶ月ほどでtwitterで52万いいね、YouTubeで170万を超える再生回数を記録しています。
大きな企業だからと思う方もいるかもしれませんが、大きな企業だからみてもらえるような時代ではありません。
動画のクオリティと内容、そして共感性が高ければ小さな企業の動画も大きく拡散される可能性があります。
動画広告の課金方式
動画広告では、主に以下のような課金方式が採用されています。
- CPM課金方式
- CPV課金方式
- CPC課金方式
- CPCV課金方式
それぞれどのような課金方式なのか、詳しくみていきましょう。
CPM課金方式
CPMは「Cost Per Mille」の略で、広告表示1,000回あたりの費用です。
Google広告のTrueViewforReachやDSPなどはこの課金方式を採用しています。
CPV課金方式
CPVは「Cost Per View」の略で、1再生ごとに課金されていく方式です。
基本的には短時間の再生であれば課金されず、一定の再生時間経過した場合に課金されます。
例えば、FacebookやInstagramでは10秒ですが、30秒の媒体もあったりとさまざまです。
支払い対象になる再生時間は事前にしっかり確認するようにしましょう。
CPC課金方式
CPCは「Cost Per Click」の略で、再生されたかではなく1クリックごとに課金されていく方式です。
バナー広告などで多く採用されている課金方式で、特定のセグメントにターゲットを絞って配信することで、集客や商品購入のようなアクションを起こす広告メニューで採用されています。
CPCV課金方式
CPCVは「Cost Per Completed-View」の略で、動画が最後まで視聴されたときに課金される方式です。
CPVから派生したシステムで、YouTubeなどでこの方式が採用されています。
最後まで動画が視聴されるというのはユーザーにとってその動画が魅力的だったということがわかり、ユーザー層の特定などにも役立ちます。
動画広告で成果を出すポイント
動画広告は商品やサービスの魅力を伝えるのに有効的であり、広告市場としても伸びてきています。
費用対効果も高いので、導入したいと考えている方も多いのではないでしょうか?
しかし、ただ闇雲に動画広告を配信すればいいというわけではありません。
そこで、動画広告で成果を出すポイントについて解説していきます。
動画広告で成果を出すには、以下のポイントを抑えておきましょう。
- 目的にあった配信プラットフォームを選ぶ
- ユーザー目線の動画コンテンツを作る
- 動画広告以外の広告と連動させる
それぞれのポイントを詳しくみていきましょう。
目的に合った配信プラットフォーム(媒体)を選ぶ
動画広告といえば真っ先に思い浮かべるのはYouTubeという方が多いのではないでしょうか?
しかし、必ずしもYouTubeが動画広告に最適とは限りません。
例えば、ブランディングが目的であれば、ユーザーと対話ができるFacebookの方がいいかもしれません。
動画の目的や種類によって適切な配信プラットフォームには違いがあります。
自社の製品やサービスのターゲットはどこか、この動画の目的は何かなど総合的に判断して配信プラットフォームを選択しましょう。
YouTube
YouTubeは動画広告を行うときに真っ先に思い浮かべるプラットフォームではないでしょうか?
世界10億人以上のユーザー数を誇り、日本においても10代〜40代までで利用率は80%を超えます。
そのため、ターゲティングすることで的確にアプローチすることが可能です。
また、動画視聴サービスであるため、動画広告が流れてきてもユーザーに違和感なく受け入れてもらえるというのもメリットです。
YouTubeでは通常のインストリーム動画に加えて、5秒ほどの動画でスキップすることのできないバンパー広告があります。
Facebookは、ユーザー数世界一のSNSです。
実名登録制で詳しい個人情報を登録していることもあり地域や年齢、性別など細かくターゲティングすることができます。
動画広告はFacebookのタイムライン上に表示されますが、ユーザーの投稿と違和感ない動画であれば見てもらえる可能性が高まります。
逆に馴染まない動画であれば、即座にスクロールされてしまうでしょう。
写真とテキストのみで構成するスライドショーやスマホでフルスクリーン表示できるストーリーズといったメニューでも広告配信できます。
Twitterは短文投稿が人気で、国内ユーザーが最も多いSNSです。
TwitterとテレビCMを連動させたキャンペーンやリツイートで拡散を狙うなど、他のプラットフォームと違う見せ方が期待できます。
Twitter広告ではフォロワーターゲティングという機能を使用することができ、指定したアカウントのフォロワーや類似したフォロワーに広告を配信することもできます。
Instagramは写真や動画の投稿をメインとしたSNSです。
ビジュアル重視の投稿が多いことから、動画広告が配信されても違和感なく視聴されるという特徴があります。
Instagramの利用者は10代〜30代の女性が中心で、「インスタ映え」などの流行語を生み出しながら盛り上げてきました。
そのため、こういった世代の女性をターゲットにしたファッションや美容、料理もしくは流行物の広告を展開するのにおすすめのプラットフォームです。
バズビデオ
バズビデオは短い時間を中心とした動画視聴アプリです。
閲覧履歴などからユーザー好みの動画やバズってる動画を表示し、ユーザーはスワイプだけでサクサク見れると人気が高まっています。
バズビデオは他のプラットフォームに比べて男性ユーザーが多く、男性向けに広告を配信したい企業には大きなメリットです。
また、管理画面内で提供している「動画作成ツール」を利用することで、簡単に動画広告が作れてしまいます。
動画広告を簡単に低予算で始めたい方にもおすすめです。
Tik Tok
TikTokは15秒の短い動画を撮影・編集し、共有するSNSです。
10代の女性を中心に勢いに乗っているアプリの一つです。
TikTok広告の配信枠はアプリ起動時に流れる「起動画面広告」、タイアップ企画型の「#チャレンジ」、おすすめ投稿に流れる「インフィード広告」があります。
スマホ画面全体に広告を流すことができるので、視覚的にインパクトがあるのが特徴です。
ターゲティングも細かくできるので、特に10代女性を中心に訴求したい場合にはTikTokはおすすめできます。
ユーザー目線の動画コンテンツを作る
この記事中に何度も記していることではありますが、動画広告において重要なのは動画のクオリティです。
しかし、いくらクオリティが高くても、ユーザーの目に止まらない、見てもらえなければ何の意味もありません。
クオリティは高いけど見てもらえない動画広告、それは企業の思いだけが一人歩きしているような動画です。
商品やサービスに自信があるからこそ、どれだけ素晴らしい商品であるかを動画を使ってアピールしたくなる気持ちはわかります。
しかし、そういった動画は面白味がなく、最後まで見てもらえません。
見てもらえないだけならいいのですが、SNSでネガティブなことを書かれてしまう可能性もあります。
ユーザーが好きな動画やSNSを見る前、もしくは見ている途中に広告が流れるということを考えましょう。
これからの楽しみを遮ってまで流れる広告なので、相応に楽しい動画やユーザーのためになる動画でなければなりません。
しっかりユーザーの目線に立ち、どのような動画であれば商品をアピールしつつ見てもらえるのかを考えましょう。
商品の開発者、サービスの考案者目線ではなく、ユーザー目線に立つことが大切です。
動画広告以外の広告と連動させる
もしも動画以外の広告、リスティング広告やバナー広告などをすでに始めているのであれば、そういった他の広告と連動させて広告効果を大きくするようにしましょう。
他の広告とコンセプトを同じにすることで、よりユーザーの記憶に残りやすくなります。
動画、静止画、文字などすべての広告プロモーションを整理し、より良い広告が配信できるようにしましょう。
まとめ
ネットの普及、そして動画視聴サービスの人気の高まりから動画広告の市場は拡大を続けています。
また、5Gの普及に伴い動画視聴環境が良くなることから、動画広告の広まりは今後も続いていくでしょう。
こうして動画広告が一般的になってきた日本において、ユーザーも動画広告に慣れてきています。
そのため、ユーザーにとって有益ではない動画広告はすぐに消されてしまい、さらにはSNSにネガティブなことを書かれてしまう可能性さえあります。
しかし、ユーザー目線に立ったいい動画広告を作ることができれば、他の広告よりも成果に繋がりやすいのがメリットです。
それ以外にも多くのメリットがあり、動画広告はハマれば非常に効果的なプロモーションになります。
動画広告は自社の利益を増大させる可能性のある広告プロモーションです。
導入する場合にはこの記事を参考に、成果につながる動画を作ってください。