Web上では、さまざまな広告を目にすると思います。
そのなかでも近年注目を集めているのが「記事広告」です。
身近な例で、インスタグラムのストーリーで広告をクリックすると記事が表示されることがありますよね?これが記事広告の一例です。
記事広告は商材の内容を詳しく、丁寧にPRできるため、成果が出やすいのが特徴です。
ただし、確実に成果を出すためには商材や媒体選びが重要になるほか、商材によっては記事広告に向かない悪い可能性もあるので注意が必要です。とくに記事の質が悪いと、元も子もないです。
この記事では、記事広告の概要やメリット、成果を出すためのポイントなどをわかりやすく解説します。
読み終える頃には記事広告の基礎が身につき、すぐに記事広告運用をスタートできるようになります。
また、間違った方法で記事広告をしてしまうと犯罪に繋がりかねないため、記事広告をする上での注意点なども解説していきます。
記事広告とは
「記事広告」とは、一般的なWebメディアの記事と同じ体裁で作成した広告のことで、「記事広」や「タイアップ広告」とも呼ばれています。
記事広告では、文章や画像、レビュー、ビフォーアフター(BA)、SNSなどを使って商材をPRできるため、バナー広告に比べて多くの情報を発信できるほか、広告らしさを感じません。
そのため、他の広告よりも成果につながりやすい広告のうちの手段として注目されています。
記事広告を行うリスク
記事広告は成果が出やすく、誰でも気軽に掲載することができます。
しかし、記事の内容や書き方によって違法になる可能性があり、実際に逮捕者も出ているため注意が必要です。
2020年7月、医薬品として未承認の健康食品を記事広告で宣伝していた健康食品販売会社、広告代理店、制作会社の社員ら6名が、医薬品医療機器法違反で逮捕されました。
参考資料:https://gentosha-go.com/articles/-/28227
事件の根源は「記事広告」ではなく、不誠実な広告の内容です。
今回の事件で逮捕された会社は目先の利益しか考えておらず、とにかく商材を買わせようというのが目的でした。
そのため『薬機法』を気にせず、過剰な表現でユーザーを煽っていたのです。もちろん、記事広告で利益を得るのは重要なことですが、このような事件になってしまっては意味がありません。
記事広告を行う際は、法律に反する文言や表現が含まれていないかを十分に確認し、正しい方法で宣伝を行ましょう。
「薬事法ドットコム」は薬事をチェックしてくれるサポートです。薬事法について知識がない方はぜひ活用してみると良いでしょう。
参考:https://www.yakujihou.com/yakujicheck/
記事広告の種類
記事広告は主に4つの種類があり、それぞれに特徴や得られる効果が異なります。
そのため、記事広告で成果を得るためには「どの広告で」、「どのような効果を得たいのか」を明確にすることが大切です。
記事広告の種類は、以下の4つです。
記事広告の種類 | 特徴 | 得られる効果 |
商品レビュー | 利用者の感想や評価などをまとめた記事 | 信頼性の向上 |
インタビュー | 商品開発者や代表者などのインタビュー記事 | ブランディング効果 |
診断 | 設問によって診断結果へ導く記事 | 潜在層へのアプローチ |
アンケート | アンケート結果をまとめた記事 | 購入意欲の向上 |
記事広告の掲載事例
株式会社Cyber Nowが運営するメディア「新R25」では、マッチングアプリ「pairs」の記事広告として、お笑い芸人へのインタビューを掲載しています。
インタビューを受けているのは、「マッチングアプリに登録している」という発言で話題となった平成ノブシコブシの吉村氏。
これまで多くの恋愛を経験してきた吉村氏は独自の恋愛観を持っており、世間でも「合コン好き」といったイメージが強いと言えます。
記事広告では、聞き手と吉村氏による恋愛観についての会話が繰り広げられた後、自然な流れでマッチングアプリの話題に切り替わります。
聞き手が吉村氏へpairsの機能を説明する内容となっていくため、広告だと言われなければ気付かない自然な作りになっています。
また、インタビューの内容も前向きなので、商材の高感度アップやブランディング効果が期待できる記事広告に仕上げています。
これは記事広告のうちの一部の事例ですが、このように自然な流れでユーザーの心を動かすことができるのが記事広告です。
記事広告の目的
記事広告を掲載する目的は大きく2つあります。
それぞれ得られる効果も異なるので、記事広告を出稿する際は目的に適した方法で出稿することが重要です。
1. 商品やサービスの認知拡大目的
記事広告は、短期間で多くのユーザーに自社商品やサービスを知ってもらうことができます。
自社のターゲット層と同じユーザーを抱える認知度の高い媒体(プラットフォーム)へ記事広告の掲載を依頼することで、より認知が拡大します。
よく記事広告で広告配信される媒体は「Facebook」「Instagram」「Gunosy」「LINE」「Twitter」「Google」「Yahoo」などさまざまです。
これらの中から、記事広告で配信したい商品やサービスのターゲットとマッチする媒体を選びます。
記事がおもしろければSNSでのシェアも促進され、CMに近しい広告効果を得ることも可能なのが記事広告です。
2. 商品購入やサービスの登録
記事広告は商品購入や自社サービスへの登録を促すにも効果的です。
記事をしっかり作り込めば、商材について詳しく、丁寧に解説したうえで購入・登録へ誘導できるため、成果につながる確率が高くなります。
また、商品購入を迷っているユーザーの決断要因にもなるでしょう。
記事広告のメリット
記事広告は他の広告よりも優れている面が多く、「成果が出やすい」というのが特徴です。
具体的には、以下のようなメリットがあります。
- ユーザーの心を動かすランディングページを作れる
- 通常の広告よりも抵抗なく読んでもらえる
- 掲載メディアのブランド力を活用できる
- ターゲット層へ効果的にアピールできるのでCVRが高くなる傾向にある
- 第三者目線で信頼を得やすい
メリット1. ユーザーの心を動かすランディングページを作れる
ユーザー視点で記事を書くことができるので、ユーザーは、「もし自分が使ったらどのような未来を描けるのか」という未来をイメージしやすくなります。
そのため、導入から読んでいくとユーザーは自然に商材やサービスに興味を持つようになり、アクション(行動)へと移っていくのです。
その点で、記事広告は
メリット2. 通常の広告よりも抵抗なく読んでもらえる
一般的なWeb広告は見るからに「広告」だとわかるものが多いので、不快感を感じる人も少なくありません。
インターネット調査会社のメディアインタラクティブの調査によると、広告に対して不快感を感じている人は約半数以上にのぼることがわかります。
年代 | 広告に対して不快感を感じている人 |
16〜19歳 | 55.5% |
20〜29歳 | 65.6% |
30〜39歳 | 49.0% |
40〜49歳 | 41.2% |
50〜59歳 | 51.1% |
60〜69歳 | 52.9% |
これに対し、記事広告には広告らしさがないため、抵抗なく自然に読んでもらうことが可能です。
メリット3. 掲載メディアのブランド力を活用できる
記事広告は、その記事単体で広告の役割を果たすというのが基本ですが、なかには既存媒体に掲載するタイプの記事広告もあります。
この場合は、掲載先媒体の認知度や信頼性、フォロワー数などをそのまま活用することが可能です。
すでにブランド力の高い媒体であれば評判も良いため、自社商材の知名度がより広がりやすくなります。
このように、記事広告は単体で成果を出すこともできれば、既存媒体のブランド力を活用することも可能です。
メリット4.ターゲット層へ効果的にアピールできるのでCVRが高くなる傾向にある
記事広告を掲載する媒体はさまざまですが、それぞれユーザー層が決まっています。
自社のターゲット層とマッチする媒体に記事広告を掲載すれば、適切なユーザーへ効果的にアピールすることが可能です。
また、各媒体ではユーザーのペルソナをデータとして把握しているところが多く、媒体によってはその情報を提供してくれることもあります。(デモグラ配信と呼ぶ)
そうなれば、ターゲット層に刺さるアピールがピンポイントでできるため、より高い成果が期待できます。
各媒体のユーザー層などはそれぞれの媒体の公式ホームページからダウンロードできることが一般的です。
メリット5.第三者目線で信頼を得やすい
記事広告は自社で作成するのではなく、ライターやメディアに依頼して作成してもらうのが基本です。
そのため、商材の魅力や実際に利用したユーザーの声などを第三者目線でまとめることができます。
これによりユーザーの「実際どうなの?」という疑問が解消され、信頼を得やすくなるのです。
記事広告はどこに発注するの?
記事広告は「ライター」に依頼するのが一般的です。
記事広告は自分で作成することもできますが、成果を出すには「読者が購入したくなる内容」にする必要があります。
そのため、ある程度実績があるプロライターに依頼するのがおすすめです。
ライター
ライターに直接依頼をする場合は、知人からの紹介やSNS、ブログ、クラウドソーシングサービスなどを介して依頼するのが一般的です。
ただし、成果につながる記事広告を作るためには、できるだけ質の高いライターへ依頼する必要があります。
ライターにも種類がたくさんありますが、その中でも「セールスライター」に発注かけるのが望ましいでしょう。
依頼の際には商材の詳細をはじめ、ペルソナやターゲット層、執筆ルール、使用する画像などを細かく伝えます。
料金は「1記事○○円」のように記事単位で支払うケースが多いですが、駆け出しのライターであれば無料で受けてくれる場合もあります。
また、ライターの質が高い場合は「成果の○○%」という単位で支払うケースもあるので、事前にしっかり取り決めておきましょう。
セールスライター
セールスライターとは、その名の通り「商材を売るための文章」を作るライターのことです。
一般的なライターとは違い、ユーザーの購買心理に関する知識やベネフィットを把握したリサーチ力が身についているため、成果に直結しやすい記事広告を作ることができます。
ただし、その分報酬は高めで1本15〜100万円、その他成果報酬で契約することもあります。
記事広告を作成してもらえるサービス
記事広告の依頼先はさまざまですが、その中で最も手軽に依頼できるのがクラウドソーシングサービスです。
クラウドソーシングサービスには多くのライターが登録しており、プロフィールの確認やメールのやり取り、テストライティングなどによってライターの質を判断することができます。
また、依頼や報酬の支払いなどもすべてクラウドソーシングサービス上でのやり取りになるため、トラブルになるリスクも極めて少ないと言えます。
以下の3社は、記事広告の依頼先として人気のクラウドソーシングサービスです。
- クラウドワークス
- ココナラ
- ランサーズ
クラウドワークス
クラウドワークスは、業界No1のユーザー数を誇る大手クラウドソーシングサービスです。
登録ワーカーは全国300万人以上で、独自の評価システムによって各ワーカーの実績や経験がわかるようなしくみです。
そのため、自社に合ったライターを選ぶことが可能です。
また、個人への発注や契約が難しいという場合は、クラウドワーカーのリソースを持つ企業へ発注・契約することもできます。
公式サイト:https://crowdworks.jp/
ココナラ
ココナラは、ユーザーのスキルを売買できるプラットフォームです。
実際に売買されているスキルはビジネスからプライベートまでさまざまですが、ライティングスキルを出品している人もかなり多いです。
「品質」「納期」「情報管理」の高い基準を満たした出品者は、「PRO認定」のマーク記載がされており、出品者のスキルもわかりやすくい作りになっています。
また、希望に合った出品者がいない場合は依頼内容の投稿もできるので、効率的に依頼が可能です。
公式サイト:https://coconala.com/
ランサーズ
クラウドワークス同様、200以上の業務をフルリモートで大手クラウドソーシングサービスです。
ランサーズも独自の評価制度を設けており、返信速度・納品実績・獲得額・高評価などの条件を満たしているランサーには「認定ランサー」のマークが記載されています。
また、ランサーズでは単発の依頼だけでなく、委託や常駐で依頼することも可能で、継続的に依頼したい場合などにもおすすめです。
公式サイト:https://www.lancers.jp/
記事広告で成果を出すコツ
記事広告には「成果が出やすい」というメリットがありますが、記事広告を作ったからといって必ずしも成果が出るとは限りません。
記事広告で成果を出すには商材選びをはじめ、記事広告の運用ポイントを徹底することが大切です。
ここでは、記事広告で成果を出すために欠かせない4つのポイントをご紹介します。
ポイント1. 商材選び
記事広告と商材には相性があります。
一般的に記事広告と相性が良いと言われているのは、高単価で内容理解が難しい商材です。
なぜなら、記事広告では画像や文章を使って深い知識を広げられるため、内容理解が難しい商材についてもしっかりと理解することができるからです。
これが低単価で内容理解が簡単な商材だった場合、画像や文章で説明する必要がないので、記事にすること自体が難しくなります。
また、記事広告はマイナスイメージが強い商材とも相性が良いです。
記事を出稿することで会社の信用度が上がるほか、商材についての正しい知識を理解してもらえるため、成果につながりやすくなります。
一方で、商材自体の魅力が強い成長分野の商材は「バナー広告」や「リスティング広告」などの方が相性が良く、成果も出やすいと言えるでしょう。
記事広告と相性の良い商材 | 内容理解が難しい商材マイナスイメージが強い商材競合他社が複数存在する商材 |
記事広告と相性の悪い商材 | 低価格帯の商材成長分野の商材 |
ポイント2. 媒体選び
記事広告の掲載先を選ぶ際は、自社商材と相性の良い媒体を選ぶことが大切です。
ここで言う「相性」とは紹介したい商材と媒体の共通点のことで、共通点が多い媒体を選んだ方が成果につながる可能性も高くなります。
また、相性が良かったとしても、予算に見合わない媒体を選んでしまえば利益が上がりません。
そのため、媒体を選ぶ際は以下のポイントを参考にしてみてください。
<媒体選びのポイント>
- 自社のターゲット層を抱えているか
- サイトの雰囲気やデザインが商材のコンセプトにマッチしているか
- 知名度や信頼性は高いか
- 費用は成果に見合っているか
ポイント3. 効果測定を毎日行う(PDCA)
記事広告で継続的に成果を出していくためにはPDCAをうまく回し、効果測定を毎日行う必要があります。
PDCAとは「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」の略称で、Webマーケティングには欠かせない考え方と言っても過言ではありません。
・Plan(計画)
目標達成のための仮説を立て、施策をプランニングしていく
・Do(実行)
施策を実行する
・Check(評価)
計画段階で設定したKPIを見ながら、施策の結果を検証する
・Action(改善)
検証で見えてきた課題に対して解決策を考え、改善を行う
PDCAを繰り返すことで課題の早期発見・改善が可能となるため、いつも最善の状態で記事広告を運営することができます。
また、記事広告では以下の3つを目安に結果測定を行うのがおすすめです。
記事広告の目安指標 | |
PV | 掲載媒体による |
遷移率 | 15〜30% |
読了率 | 30%以上 |
ポイント4. 成果が発生しなかったらすぐに退却
記事広告を掲載しても「思うように成果が出ない」というケースは少なくありません。
その際は、先述した目安指標に着目して原因を特定してみましょう。
・遷移率が原因の場合
遷移率が思わしくない場合は、ターゲット層に突き刺さる切り口になっているか確認してみましょう。
記事の内容を良く分析し、問題がありそうな部分をリライト、もしくは次の記事広告に活かします。
遷移率が良いほど、成果へと繋がるのは間違い無いです。
・読了率が原因の場合
ターゲット層が興味を持つ内容になっているか、集中して読み切れるボリュームになっているかを確認しましょう。
記事のボリュームが大きすぎると、読者が途中で飽きてしまったり、読む気が失せてしまったりするため、どうしても読了率が低下してしまいます。
記事のボリュームはメディアのジャンルによっても異なりますが、ビジネスメディアであれば2,000〜3,000文字以内、時間的には3〜4分で読めるのが理想です。
また、記事広告の掲載には費用がかかります。
いろいろな改善・試行錯誤を続けても成果が出ない場合は、潔く退却するというのもポイントです。
記事の質を高める(セールスライティング)を理解する
記事広告で成果を出すためには、「成果につながる記事」を作ることも重要です。
そこで理解しておきたいのが“PASONAの法則”になります。
PASONAの法則とは、日本一のマーケターと言われる神田明典氏が考案したセールスレターの文章モデルです。
成果につながるセールスレターには以下5つのパターンがあり、これらを記事広告に盛り込むことで「成果につながる記事」を作ることができます。
PASONAの法則 | |
Problem(問題) | 読み手の問題を提示する |
Agitation(煽り・共感) | 問題に共感する |
Solution(解決策) | 問題の解決策と証拠を提示する |
Narrowing Down(絞込) | 限定性や緊急性によってユーザーを絞り込む |
Action(行動) | 行動(購入)を促す |
まとめ
記事広告では、画像や文章を使って商材を詳しくPRすることができるため、ほかの広告に比べて成果が出やすいというメリットがあります。
しかも、認知度や信頼性の高い媒体に掲載することもできるので、あまり知られていない企業や商材でも効率的に成果を出すことが可能です。
商材や媒体によっては成果が出にくい場合もありますが、相性の良い商材にとってはかなり効率的なマーケティング手法だと言えます。
そのため、「内容理解が難しい商材」「マイナスイメージが強い商材」「競合他社が複数存在する商材」を取り扱っている企業は、ぜひ記事広告を積極的に活用してみましょう。